★スワッピング アルファ166編

10/9/2003  

僕は自分がイヤになる...。
プジョリーヌはとても愛しい。フランスからやって来た田舎娘は金がかかる割に多少育ちが良くない様だ。しかし、その大人になるにつれしなやかさを増す猫の様な足。時折理解不能な行動をし、日本の娘では考えられない様なうめき声をあげるが、僕はそんなプジョリーヌが愛しくてたまらなかった。

しかしその一方で、「果たして、本当に大和撫子よりもこのフランス娘が良いのだろうか?」
そんな考えが時折頭をもたげる。
ラテン娘がいいなんて、一部の欧州車好きのジャーナリストやエンスーな人達が思いこんでいるだけで、実は最近の大和撫子は予想以上にイケてるのではないだろうか...。そして自分自身も実は「プジョリーヌは素晴らしい」と自分で自分に言い聞かせているのではないだろうか?
そのうち大和撫子をつまみ食いしてみよう...そうすればきっと自分の判断が間違っていなかったと自信が持てるはず...。
僕は自分で自分の事を愚かだと思いながらも、最近の大和撫子や他のラテン娘がどれほどのものなのか気になっていた。

しかし、ちょっとお店でつまみ食いしたくらいでは比較などできる訳が無い。
周りの友人の伴侶である大和撫子達は、とてもプジョリーヌと比べるには値しない。
「う〜む、やはりプジョリーヌが一番だな。きっとそうにちがいない。そのはずだ。そーだーそーだーくりーむそーだー。」」
僕はそう言い聞かせて、自分の愚かな気持ちを心の奥にそっとしまいこんだ。




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それは8月も終わる日曜の夕方。プジョリーヌのパノラミックルーフから見える空はどんよりと曇っている。僕は親友であるマコッチオの家へとプジョリーヌを走らせていた。マコッチオの家の前では彼の伴侶であるアルファツオが出迎えてくれた。(注:アルファッツオはアルファ166でマコッチオが名づけた名前であり、男みたいな名前だが女であるはずである。女でなければここまでの話がエロくならないからだ。作者が勝手に名前を変えてみても良かったのだが、作者はイタリアの女性の名前がさっぱりわからない。)
「ボンジョルノ! シンパパ! プジョリーヌ!」
「やぁ! アルファッツオ!」
アルファッツオは決して顔は端正とは言えないが、美しいウエストラインとどこからともなく溢れ出れでる色気にどきどきさせてくれる。いちど触れてみたい存在だが僕にはその勇気がなかった。

ふとマコッツオが言った。「どうだい?俺のアルファッツオを試してみないか?」
僕は頭の中が真っ白になっていくのがわかった。




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気がつくと僕は、アルファッツオのハンドルを握っていた。マコッチオは助手席で僕とアルファッツオのプレイを見守っている。
さすがはアルファッツオ。パワーシートできめ細かくドライビングポジションを調整できる。内装も高級感の中にスポーティーさがうまく取りこまれている。革を一部あしらったシートの座り心地も申し分ない。フレグランスも大人の車を演出している。

僕はゆっくりとアルファッオを走らせ1つめの交差点に出た。アルファッツオを右折させようとウインカーレバーに左手をかけた。その瞬間...
「フニャ」
なんとも頼りなく節度感に乏しいその感じ。プジョリーヌのソレよりもそのソフトな感じがどことなく僕の心を
安堵へと導いた。そして交差点を右折しアクセルを踏みこむ。その2.5リッターV6エンジンは官能的なエキゾーストとともにスムーズに加速...していくはずだったが「遅っ」。
マコッチオは言った。「どーも、加速は遅いんだよね。トルク感に乏しいんだよね。」
うーむ、確かにトルク感はすこぶる乏しい。しかしそこはアルファ。ちょっとスピードが乗ってくれば官能的なエキゾーストととも加速する。

国道へ出た。Dモードでは踏みこんでいても2000rpmちょっとでシフトアップしてしまう様だ。ATをスポーツモードにする。アルファッツオはティプトロ側へレバーを倒して+−操作を行わなければスポーツモードに変わる。ここは307のボタン式よりも切り替え易く、シーンに合わせて即座にモードを変えられそうだ。スポーツモードでのアルファッツオは違和感なくシフトしてくれる。
低速でのコツコツ感は多少あるがプジョリーヌのソレより少なく、高級車として許容できる範囲だろう。
内装のビビリなどは皆無で、そこはさすが高級車である。

僕はアルファッツオをテストコースへと導いた。このコースは川の堤防にあり、2つの橋を使って繰り返し周回可能。アップダウンあり、連続した路面のうねりあり、まさしくプジョリーヌを走らせてその路面追従性の高さを確認し自己満足し愛を確かめるために相応しいコースなのである。人はここを、「サン・ジコマン・デ・フランセ」と呼ぶ。
話が逸れるがここは会社のラテン車好き、ショルジオさん(くどいが僕はイタリア人の名前を良く知らない。)から聞いたのだ。彼は現在アルファ147に乗っているが、前車エグザンティアやその前に乗っていたクリオはいともフラットにこのコースを駆け抜けたのに、147はどうもバタバタする上突き上げ感があって
にくるらしい。胃をいたわるために、アイバッハとビルシュタインのサスを入れてみたが未だグローブボックスの奥には「キャベ2」のビンが常備されていると聞く。

橋を渡りウインカーレバーをフニャっと傾け、僕はアルファッツオをコースインさせた。ATをスポーツモードにしたアルファッツオは官能的なV6サウンドと共に加速する。速度は120km/h。ちょっとオーバースピードかなと思ったがそのまま高速道路をくぐる最初のダウンアップに飛びこむ。ダウンからアップに変わる谷の部分でちょっと底付き感があり胃が上にグッと持ちあがった
「ウップ。」そしてウップの後のアップを終えたあとは連続してうにょうにょしたうねりがある。アルファッツオはいともフラットにそのうねりを走り抜ける...はずであったがアルファッツオはそのうねりにその妖しげなボディを左右に激しく揺らし、プジョリーヌと比較して挙動のおさまりも良くない。決して悪いレベルではないがプジョリーヌと比べると落ちつきがなく、僕は心の中でプジョリーヌへの愛が大きくなったのを感じた。
しかし僕は「うーん、ちょっとオーバースピードだったかな?もう1周していい?」とマコッチオに聞いた。実際、官能的なV6サウンドに酔い、ついついプジョリーヌをいつもテストする時よりもオーバースピードで進入した気がしたからだ。
だが、スピードを抑えてもう1周しても、アルファッツオはプジョリーヌより落ち着きが無く、僕はプジョリーヌへの愛を確かにしたのである。
「うーん、正直プジョリーヌの方がフラットかなぁ...」僕は呟いた。


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今度は僕が、最愛のプジョリーヌとマコッツオの競演を見守る番だ。
相変わらずプジョリーヌは内装から独り言を言っている。更にプジョリーヌは交差点で曲がるたびにフロア下からうめき声を上げる。マコッチオも気になっている様だ。
国道にでる。アクセルを踏みこんだマコッチオは「うは〜、なんてガサツなエンジン。でも意外とスムーズに回るんだーノ。でもやっぱり実用オジサンエンジンって感じだーノ。」と言った。
プジョリーヌはテストコースのうねうね部分へやってきた。プジョリーヌはいつもと変わらずしなやかにその足を動かし確実に路面を捉える。
「うーん、くやしいけどアルファッオよりフラッティーニ!」マコッチオは言った。
だが、やはり低速でのゴツゴツ感はアルファッツオより圧倒的に劣る。

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結局、どっちが良いとか悪いとかではなくそれは味付けの違いなのだと思う。
でも比べてみて、改めてプジョリーヌの良さを知ったし愛が深まったし、僕はプジョリーヌの味付けが好きだ。好きだ!愛してる!ジュテームプジョリーヌ!

僕は今日も愛を確かめるためにプジョリーヌをコースへ連れて行く。
それでも自分の気持ちがわからなくなった時は、又、他の誰かとここへくるかもしれない。
さて次は誰とここへ来ようか...。カモン挑戦車!なんちって。