さて、その1では国産車との価格比較をしてきました。
大体のところSWは、排気量や装備(安全装備もOPで同等とした)が同等の国産ミニバンやワゴンと比較して50万円くらい高いなぁって感じです。まぁフランス車全体で考えると、ルノーやシトロエンだともうちょっと高めかなと思いますが、メガーヌUは307に価格を合わせてきましたしまぁ大体同じとしましょう。
では、その50万円を払って一体どんな目に見えないものを買っているのか?
僕なりにまとめてみると下の様な感じかなと思います。
1.飽きにくい
2.スタイリングや内装
3.長時間乗っても疲れないシート
4.しなやかな乗り味と素直なハンドリング
5.これらの絶妙なバランスから生み出される味
僕は正直、今回のSW購入にあたっては欧州車に乗って「オシャレ」とか「こだわってる」とか思われてみたい、という気持ちあったと思います。いや絶対にあった。(笑)
例えば、OPELザフィーラがスバルでトラヴィックとして販売される様になり明らかに割安になりましたが、OPELザフィーラが欲しかった人の全てがスバルマークの付いたソレに「安っ!」といって飛びつくかというと疑問です。な〜んて考えてしまうのは僕が正当にモノの価値を評価できないミーハーなニンゲンだからなのかもしれないですが。(^^;
SWだって、もしトヨタが全く同じモノを作っていたとしたら「トヨタのくせにデザインや足やシートのいいクルマが出たナ。」と一目置いたとしても、僕は買っていなかったでしょう。(^^;
とにかくブランド性や希少性は、輸入車を買う大きな理由になっていると思います。そして飽きない理由の1つは「街に溢れていない」事ではないでしょうか?
まぁ別にプジョーが特別なブランドってワケじゃないですけどね。考えてみるとフランスのメジャーなメーカー...ルノー、プジョー、シトロエンはどこも小さいハッチからサルーンまで揃えていて、価格もお手頃なまぁフツーのブランドですよね。フランス人に言わせればよっぽどトヨタの方がブランド性が高いのかもしれません。
でも僕の中では、トヨタ、ホンダよりもマツダ、スバルの方がブランド性が高く、VWよりプジョー、シトロエンがブランド性が高いんですよね〜なんとなく。やっぱり希少性の問題かな?(^^;
でも、じゃ、例えばイプサムがプジョーから発売されていたとしてソレを買ったかというと、ソレはあり得ないでしょう。
少なくとも欧州車を買う人はまずは「ヨーロピアンなデザイン」が好きなんだと思います。外見や内装を含め、どちらかというと「カッちょいい」というより「オシャレ」とか「機能美」ってのが好きなんだと思います。僕自身は別に輸入車好きじゃなかったけど、昔からヨーロピアンなデザインのクルマは好きでした。
SWの外見はちょっと日本車っぽさがありますが細部にはフランスのにおいがしますし、内装も含めフランスの香りがプンプン漂っています。
デザインについてはドイツ、フランス、イタリア車で比べるとお国柄が出ていますよね。メーカーによってももちろん車種によっても違いますが、僕的にはドイツ車は機能と質感重視のデザイン、イタ車は個性と遊びゴコロを強く出しているけど機能を犠牲にしていない、フランス車は保守的で実用重視で地味であるけどどこか華があるってトコロでしょうか。。。僕はやっぱりフランス車のソレが好みです。
といってもメガーヌUあたりは大衆車なのに思い切ってるなぁ。。。
まぁとにかく、フランス車のデザインは好み次第では大きな価値の1つであると思います。
さて、フランス車に限ったことじゃないでしょうが欧州車に乗っていると「一体何がいいの?」という質問をたびたび受けると思います。しかしフランス車の場合、説明しにくいですね〜。(^^;
ドイツ車の様にドッシリとした剛性感や安定感があるわけでもなく、イタ車の様に見た目に訴えるものもないし、当然国産車の様なスペックは持ち合わせてないですから。。。
そこで1つめに思い浮かぶ物、欧州車全般に言えると思いますがやっぱりシートでしょう。
正直、クルマを買う時に真剣にシートを評価しようと思っても、短時間の試乗では難しいですよね。国産車のシートの多くは「長時間の運転で疲れない」とか「腰やケツが痛くならない」という事よりも、「パッと乗った感じの乗り心地」やワゴンなどでは「便利で多彩シートアレンジ」に重点が置かれている感じであり、「疲れにくい」等の見えにくい性能に金をかけたものは少ないと思われます。又、特に小型車におけるシートはコストダウンの大きなターゲットになっている様に思われます。
そもそも日本はベッドや椅子の文化ではないため、使う方も作る方も重視しないのかも知れません。
でも欧州車ではその味付けに違いはあれど、小型車のベーシックグレードであってもシートの手抜きがなさそうです。
フランス車のシートは軟らかくてでもコシがあるものが多い様です。実際に代車で1ヶ月間乗っていたラグナTのシートは、体の部分だけがムニュっと適度に沈み、疲れず・乗り心地が良く・かつホールド性も良い物でした。
307の場合は明らかに硬いです。ドイツ車を意識したのかな?
クッションの構造やリクライニングの機構にはコストダウンの影がチラホラしています。
しかし、それでも長時間乗っても疲れず、腰が痛くならない物に仕上っています。強いていえばケツが少し痛くなるかな〜?
最近はプジョー以外のフランス車でも「ふっくらムチムチシート」の味は薄れつつある様ですが、ルノーは結構伝統(?)を守りつづけている様ですね。
国産車でも車種によってはシートの良いものもありそうですが、やはり歴史と実績がある欧州車のシートは、多少コストダウンしようともキチンと作られてそうです。そうでなければ市場が許さないのでしょう。
そして2つめに思い浮かぶのは、やっぱり乗り味でしょう。しかしこれが説明し難い。ハハ。(^^;
だって先にも書いたとおりドイツ車の様なドッシリとした剛性感、安定感があるわけじゃないし。。。
フランス車の乗り味は本当に「味」であって、「性能」ではないのです。(^^;
代車で乗っていたラグナとSWの共通点は、70km/h以上の速度域では足がムニュムニュと動いて路面のうねりにしなやかに追従ところだと思います。足が沈む時も伸びる時も、必要以上の挙動は示さず、かといってガチガチに抑えこむわけでもなく、素直に路面に追従する感じです。そしてコーナーリング時は適度にロールしつつ切った分だけ素直に曲がる感じです。
ただ、SWの場合はちょっと足が硬い感は否めません。低速でのゴツゴツ感が気になります。
また、サス以外に背の高さや屋根がガラスであることが影響しているのかも知れませんが、左右の高さが連続して入れ替わる様な路面では、左右に頭を揺らします。
低速でのゴツゴツ感やフラット感の面も含めると、SWよりラグナに軍配があがります。
まぁなんにしてもフランス車の乗り味の魅力は言葉にできませんが、あえて言葉にするならば「しなやかな足が生み出すムチムチした乗り心地と、素直な路面追従性&ハンドリング」だと思います。
国産車は高級車だといかにも「乗り心地いい〜」ってフワフワの味付けだったり、乗り心地を犠牲にしたスポーティだったり、スタンダードなクルマだと「う〜んビンボくさ〜」って乗り味だったりしますから。。。でも最近は変わってきてはいますよね。レガシィなんかちょっとクヤシイ感じです。
まぁこんな感じでイロイロ書きましたが、まとめると「味と雰囲気を楽しめるのがフランス車」「長時間楽しくラクに乗れて運転が苦にならないのがフランス車」だと僕は思います。とにかく1人でも家族でも、クルマで出かけるのが楽しくなります。
そうそう、これが良い事なのかはわかりませんが、乗れば乗るほどその「味」が出てくるのもフランス車らしさでしょう。国産車が新車時に最高でどんどんボロくなっていくのに対し、フランス車は新車時からボロくなっていく一方で乗り味がイイ感じになっていく。購入初期のトラブルも比較的多いが、ある程度治してしまえば問題ない???。壊れれば、車のメカについて知る事もできるし知りたくなる。
この辺が飽きにくくてかわいがりたくなる理由のひとつかもしれません。
そうだ、エンジンの事を忘れてました。モノによるでしょうが、一般的にガサツでブン回すタイプではありません。
でも、SWにしてもラグナにしても、2000〜4000rpmの実用域でトルクが太く実に使いやすい。
回せばスムーズとはいえませんがそこそこに回るし、エンジンは排気量やスペックではないなぁと感じさせられます。
ん〜なんだかオチがつかないな〜。とにかく僕的には。。。
フランス車≒とりあえず希少だし、実はそうでもないのに何故かオシャレな感じがするため、オシャレなお店の前に乗りつけたりしても映えるし、コンパでクルマの話になると注目され、保育園に子供を送れば保母さんが「プジョー乗ってるんですかぁ?」と話を振ってきてとりあえずミーハーな欲求を満たす事ができる。時には違う欲求を満たすかも知れない。しかしソレだけだと故障でイタイ目を見てイヤになる。はずであるがその故障さえもクルマに対する知識を豊富にするし、故障しなければ話さないであろうお店の人や他のお客さんとタダのコーヒーを飲みながらお話ができる。そしてなにより大衆車でも街乗り、高速、ワインディングをバランス良くこなす隠された実力と、絶妙な味、特にシートと乗り味の虜になる。虜になるからクルマで出かけるのが楽しくなり、家族や友人とイロイロなところへ(わざわざ)出かける。特に家族で出かけるのが苦痛であるオトコにとってはこんなにスバラシイことは無い。もちろんそのバランスの良さは同乗者も満足することだろう。決して自分だけが満足するワケではないのがいいところ。通勤も楽しくなる。そして付き合えば付き合うほど味が出てくるため愛情が増して飽きにくい。ここまで好きになれば「ラテン車好き」という新しい枠の友達ができるはず。時にはカノジョができるかもしれない。そこまで行くとボロくなるまで乗れる。むしろ長く乗るのが自慢にもなるだろう。(でも長く乗ったほうが金がかかるかもしれない。)ボロくなっても国産車と違ってあまりボロさを感じずむしろ良さを感じる事ができる。ピカピカにして乗っても良いが、キズだらけで色あせてモールが取れているなんてのもフランスのエスプリを感じられて良い。それらしい音楽でもかけてフランスパンでも頬張ればれば、家の周りの山並がプロヴァンスの風景に見えてくる。
万一フランス車を好きになれなかった場合でも、メイドインジャパンの品質の素晴らしさを実感できる。
これだけの魅力が国産車プラス50万円で手に入る。。。僕はSWを買って正解だったと思っています。強いていえば、もっとフランス味の濃いクルマが欲しかったかな?で
ちなみにこんな事書くと以前からのフランス車好きの方々には「おまえ輸入車初めてのくせにほんとに解ってんのか?」と言われそうですが、「次のクルマ」も「奥さんのクルマ」もフランス車にしたい、そして「SWよりもラグナTに近いのが欲しい」という感じですっかりフランス車の虜ですゆえ、どうか暖かい目で見守ってくださいませ。(^^;
まぁでも小市民なので、保証期間が切れた後の故障の多さが今後のフランス車ライフを左右する気がしますけど。。。
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