Tostaのバセドウ&低下症 闘病記

P3.アイソトープ治療

 

決断   25歳   1997年秋   通院開始2年半  

医者に手術アイソトープ治療を勧められた。

手術のネックは、首の傷跡、声帯のすぐ横を手術するため声がかすれたり出なくなったりする可能性が極稀にあるらしい。入院は1ヶ月半。こりゃキツいな〜。

アイソトープのネックは、年月とともに甲状腺ホルモンが低下してくる可能性大らしい。こうなると、逆に甲状腺ホルモンを一生飲まなきゃいけないんだよね。でも、副作用は無いらしいよ。被爆量はたいしたことないって聞いた。入院は8日間。

ヒジョーに迷ったけど、欧米では一般的らしいし、入院期間も少ないアイソトープ治療にしようか。福井ではアイソトープ治療ができる病院がないので、となりの県の病院へ行くことになったよ。

メルカゾールの服用で治らなければ、手術かアイソトープ治療を選択する必要があります。一般的に米国では、最初にアイソトープ治療を行うほどで被爆量も少ないようですが、やはり放射線治療なので気になります。

手術では声がかすれる、でなくなる可能性が極稀にあることと、輸血しなければいけないことが心配だと思いました。

 

アイソトープ治療の準備(食事制限)   25歳  1997年12月  

シンチグラムの検査(飲んだヨードがどれだけ甲状腺に取り込まれるかで甲状腺の働き度合いが判る)&アイソトープ治療のためには、2週間ヨードを摂取してはいけないんだってさ。外食も禁止。メルカゾールは1ヶ月前に中止。そのままだと心臓バクバクになるので、インデラルが処方されたよ。

12月から食事制限始めて、1月にアイソトープ治療だもんな。海藻はもちろん、ダシも魚もダメなんだって。忘年会もむりだし、正月におせちも食えんよ。なんつっても、出張行くのに弁当持っていかなアカン。知らない土地の公園で1人で弁当食うの泣けるなぁ。寒いし。ああ、白身の魚はOKらしいよ。僕、肉よりサカナ派なんだよね。タラ食おう、タラ。しかし、この食事制限は厳しいなぁ。

アイソトープ治療は、放射性ヨードのカプセルを飲み、過剰な甲状腺を放射線で破壊する治療です。放射性ヨードの飲む量を決めるには、甲状腺に何%ヨードが取り込まれるかを確認しなくてはいけません。アップテイクの検査で、こちらは少ない放射線を持った放射性ヨードを飲み、24時間後、甲状腺の放射線量を測定することで、ヨードがどれだけ取り込まれたかを確認します。甲状腺機能亢進状態であるほど、取り込まれれる量は多くなります。

この検査の結果と、甲状腺の大きさなどから、アイソトープ治療で飲む放射性ヨードの量が計算される様です。

甲状腺にすでにヨードが存在すると、放射性ヨードが充分に取り込まれないため、アップテイクの検査の前、そして、アイソトープ治療前にはヨードを摂取してはいけません。反対に、甲状腺の働きを抑えるクスリや食べ物も摂取してはいけません。

なお、僕がアイソトープ治療を受ける前に食事制限リストを渡されました。これは、地元の前から通院していた病院でも、アイソトープ治療を受ける病院でももらいましたが、どちらも白身魚は”可”とされていました。しかし、私は、タラを食べたことが原因で、アイソトープ治療に失敗することになります。

 

1回目のアイソトープ治療  25歳   1998年1月

結局、メルカゾールやめて2ヶ月で、体重は3kgほど落ちて55kg。

生まれてはじめての入院でとなりの県までやってくるとは。オオゲサだなぁ。

8日間か。普段はゲームなんかしてる時間ないからナ。こんなときこそやるぞ〜。本も読みまくるぜ〜。

★1日目(月)

お昼に病院入り。核医学科だからかな〜?地下の奥のほうにあるんだよね。そんで、看護婦さんもオバサン(=推定45歳以上)ばっかりなんだよね。なんかやっぱコワくなってきたな〜。でも、若い看護婦さんがいるとドキドキして心臓に悪いね。

3時ごろ、主治医に呼ばれる。主治医はビンからピンセットを使って僕の手のひらに放射性ヨードのカプセルを乗っけて、これを水で飲んだよ。別に、フツーのカプセルだった。飲んだ後も主治医は僕の首触るし、放射線もたいしたこと無いのかな?

しかし、24時間は風呂には入れない。この核医学病棟から出てはいけない。トイレも専用。飲み物も専用のコップで飲む。ティッシュは使用禁止。専用のちり紙を使う。専用のごみ箱に捨てる。

また、持ち物は退院時に放射能を測定して、規定値以下だと持って帰れる。あした、風呂に入ってしまえば、大概モノに触っても大丈夫らしい。だから今夜は、なんにもしないで寝ることにした。

 

★2日目(火)

夕方風呂に入る。このとき脱いだ服は廃棄する。

やっと、病棟から出られる。といっても、行くところは売店くらいか。

★3日目(水)

これから毎日、一日1回のアップテイク測定があるだけ。約10分。ヒジョーにヒマすぎる。すっかりゲーム、読書、ワイドショーに明け暮れる。

★4日目(木)

夜、主治医がやって来て、アップテイク測定の経過が良くないという。ナニィ〜。

最初は放射性ヨードが予定通り取り込まれていたが、アップテイクの測定値がメチャメチャはやく減少している、要はいったん甲状腺にとりこまれた放射性ヨードが逃げているというのだ。「なんか、ヨード食べん買った?」と聞かれる。食うもんか。あんなに苦しい思いして食事制限したのに。「入院前1週間で食べたものを思い出せるだけ紙に書いて。」といわれる。ん〜、アレとかコレとかタラとか。渡された食事制限リストで禁止されてるもんなんか食べてないよ。お菓子も食べてない。外食もしてないし。

★8日目(月)

やっと退院か〜。しっかし、ヒマな入院だったな。なるほど、ヒマが苦しいってこともあるんだな。まあ、どこも行けないからだろうけど。

主治医から、やっぱり放射性ヨードが甲状腺にとどまっていないので、今回の治療は失敗だろうといわれた。マジで?俺の入院費10まんえんえんがぁ。

★1ヶ月後くらい

主治医からTELがあり、「タラ、どうもタラが怪しいよ〜。とれる場所によって、ヨードたっぷりのタラがいるらしい。そのタラどこで買ったの?」といわれる。スーパーだよ近所の、どこでとれたかわかるわけねーだろ。だいたい、白身はOKって書いてあったぢゃないか〜。

結局このあと、また、わざわざあのくるしい食事制限をして、アップテイクを測定し、そのあとタラをタラふく食ってアップテイク測定したら、アップテイクが激減することが判った。主治医は「原因がタラだって判って良かったネ。これで次は失敗しないヨ」だってさ。そんなことより、僕のじゅうまんえん返してくれない?僕、あなたのゆうとおりに食事制限ちゃんとしてたよ。

僕の1回目のアイソトープ治療は、食べても良いはずだったタラを食べたせいで失敗してしまいました。みなさんも、禁ヨードの際には、白身魚にご注意を。